太陽光発電のメンテナンス費・維持費にはいくらかかる?
太陽光発電を設置した際、毎月・毎年一体「維持費」はいくらかかるのか?とふっと疑問に思うことがあります。設置すれば太陽が出ている限り、電気がどんどん生み出されるというわけではありません。きちんと定期的にメンテナンスをすることで、太陽光パネルやパワーコンディショナなどの設備機器が寿命よりもずっと早くに故障したり、発電効率がグッと低下してしまったりということにもなりかねません。できれば長く生産性も安定しスムーズに電気を生み出してくれるのが理想です。
また維持費は投資の利回りを計算する上で必須となる知識です。しっかりと覚えておくようにしましょう。
■定期的にメンテナンスしないと発電効率が落ちる?
太陽光発電で太陽光を集める太陽光パネル(モジュール)に光が当たることで、パネル内の半導体と呼ばれるセルが稼働することで、電気を作り出します。太陽光パネル(モジュール)表面に粉塵や鳥のフンなどが原因で汚れてしまうと、光がパネル内部にまで伝わらず、十分に発電することができなくなり、発電効率が落ちてしまうのです。通常それらの汚れは、風雨によって洗い流されますが、ひどい汚れが着いてしまった場合は、当然清掃が必要となります。
太陽光パネルを定期的に清掃することで、発電効率を安定させることだけでなく、パネル自体の故障や破損などを早くに見つけ対処することができます。
■太陽光発電に必要な維持費の種類
太陽光発電の維持のためには、さまざまなメンテナンス費が必要となります。
▲定期点検費
定期点検の目安 7,000円〜8,000円/年(4年に1回30,000円)
太陽光発電設備は、4年に1回以上、点検することが推奨されています。主に施工会社が定期点検を行い、1回につき3万円ほどかかります。
また、施工会社の中には、定期検診を無料で行っている場合もありますので、事前に調べておくといいでしょう。
▲パワーコンディショナの交換費
多くの場合、撤去費や処分費などははじめの見積内に含まれていることが多く、またメーカー保証が適用できる場合は、費用がかかりません。
▲パワーコンディショナの電気代
電気代目安 25,000万円/年
太陽光発電において太陽光から得た直流電気を家庭で使うために交流電気へと変換するパワーコンディショナは必要不可欠です。
ほとんどの場合、10年間保証がついたおり、メーカーによっては20年の保証が付いている場合があります。修理や交換などが発生した場合でも、お金がかかることはほぼありません。
しかし万一、保証期間が過ぎてしまった時には1台数万円〜数十万円の修理・交換に費用がかかってきます。」
▲メンテナンス費(清掃)
清掃の目安 200,000円/年
定期点検では、発電設備のシステム上に不具合がないかどうかを確認しますが、それ以外にも発電効率を保つために清掃や、屋根以外に太陽光パネルを設置している場合は、除草などが必要となってきます。
太陽光パネルの清掃は、年2〜3回行うことが推奨されています。料金は、一般的に基本料金+パネル1枚ごとで設定されています。
多くは、基本料金1万円前後、パネル1枚あたり500〜1,000円が相場です。
▲保険費
保険費の目安 35,000円/年〜45,000円/年
メーカー保証があるから、保険は必要ないと考える方も多いと思いますが、メーカー保証は一般的に、自然災害に対しての保証は含んでいません。
そのため、年に必ず来る台風や地震による破損、そのほかの自然災害など万が一を考え保険に加入するかどうかを決めましょう。
太陽光発電に主につけることができる保険
火災保険・動産総合保険 | 自然災害などによって太陽光発電が物的損害を負った際に適用される保険です。また動産総合保険は、悪戯による故障や盗難、運搬中の事故などに適用される保険となります。 |
賠償責任保険 | 所有している太陽光発電が、第三者に危害を及ぼした際に手寄与される保険です。よくある事例として、太陽光パネルが強風によって他者や民家などにぶつかり損害を与えてしまった時などに適応されます。 |
休業補償保険 | 火災や自然災害によって発電が停止してしまった際、設備が復旧するまでの間にできていたであろう、売電収入を保証してくれる保険です。 |
出力抑制保険 | 電気の需要と供給を保つため、電気会社が一定期間電気を買い取らなくなることを出力抑制といいます。つまり、せっかく作った電気を電気会社が買い取ってくれないことで、その期間は売電収入がなくなります。その時に適用されるのがこの出力抑制保険なのです。 |
▲修理費
基本的に、太陽光パネル(モジュール)はメーカー保証が付いています。メーカーにより異なりますが、システム保証は10〜15年、出力保証は10〜25年です。そのため、万が一故障してしまっても、保証が適応され、無償で修理や交換をしてもらうことができます。
しかし、メーカー保証を受けることができない、台風や地震などによる自然災害で太陽光パネル(モジュール)が破損してしまった場合は、自己負担として修理費が必要となります。
■メーカー保証
太陽光パネルは、どのメーカーでも最低10年の保証がついています。メーカーによっては無償の保証が20年くらいあったり、有償でも15年〜20年と保証期間を延長することができる場合があります。
大きく分けて、保証には「製品保証(機器保証)」と「出力保証」がついています。
|製品保証(機器保証)とは?
一般的な電化製品についているメーカー保証と同じような保証です。太陽光パネルに製造上の不具合が見つかった場合、無償で修理や交換をしてもらうことができます。
また太陽光パネル(モジュール)の製品保証には、太陽光パネル(モジュール)単体を保証してくれるものと、パネルやパワーコンディショナ、架台などの太陽光発電システム全体を保証する周辺機器保証(システム保証)があります。
またこの製品保証には、台風や地震といった自然災害で故障した場合、本来正しい使い方をしなかった場合(重過失)、故意に破壊した場合など対象外となります。
|周辺機器保証(システム保証)とは?
メーカーによっては太陽光パネル(モジュール)だけでなく、パワーコンディショナや架台といった周辺機器全体を保証してくれる場合があります。
一般的には太陽光パネル(モジュール)をはじめ、太陽光発電システム全体を同じメーカーで揃えることを条件にしています。メーカーによって周辺機器保証の内容がさまざまなので、自然災害保証が付帯したり補償範囲が異なるため、メーカーや販売店に事前に確認することをオススメします。
|出力保証とは?
太陽光パネル(モジュール)は、20年間ずっと同じ電力を発電することは難しく、年々少しずつ発電効率は低下していきます。そのためメーカーが太陽光パネル(モジュール)の出力が一定期間、規定数値を下回った場合に修理や交換などを行ってくれる保証があります。
定期的にメンテナンスを行うことで、低出力になることを最小限まで抑えることができますが、電子機器である以上経年劣化は避けて通れません。ちなみに、発電量をシミュレーションする時も、発電効率の低下を考慮した上で、計算しておきます。
しかしこの出力保証は簡単に受けることができず、必ずしも出力低下が太陽光パネル(モジュール)の故障によるものではない可能性があります。当然1番に思い浮かぶのは、その日の日照量です。日照量が少なければ当然出力も低下してしまうので、可能な限り発電モニターで発電量をチェックし、日々のデータの記録をすることをオススメします。データがあることで、予期せぬ出力低下が故障によるものかどうか、判断もしやすくなります。
■税金
太陽光発電で売電することで税金がかかってきます。1つは所得税で、もう一つは固定資産税です。売電することで収入を得ることができる以上、所得税は必ず必要となります。また固定資産税は、所有する建物の屋根と一体になっている太陽光発電も資産とみなされるため、税金を納める必要があります。
■太陽光発電の廃棄(撤去)費用
維持費とは少し関係がなくなりますが、これから太陽光発電の設置を考えるにあたり、設備の耐用年数とその後の廃棄(撤去)のことを事前に念頭に入れておく必要があります。
|耐用年数とは?
日本の法律上、太陽光発電設備の耐用年数は17年を決められています。しかし部品の劣化具合によっては、耐用年数が変わってくるため、あくまで17年は目安の年数となります。
・太陽光パネル(モジュール) 20〜30年
・パワーコンディショナ 10〜15年
|廃棄(撤去)費用
太陽光発電を廃棄しなければならなくなる1番の理由は、経年劣化です。その次に多いのが自然災害や事故による破損による廃棄です。自然災害や事故による廃棄の場合、保険が適用される場合が多いので、撤去費用がかかる心配がありません。
一般的に、太陽光パネル(モジュール)の撤去費、その運搬費、その他太陽光発電設備の撤去・処分費です。撤去費は、作業日数×作業員数×人件費が主な内訳です。
また、太陽光パネル(モジュール)のほとんどが屋根に設置されているため、その撤去となると安全対策費として、足場の設置費用がかかります。